天童将棋まつり
年月日:2003年4月19日(土)・20日(日)
【一日目】
去る4/19(土)、20(日)に天童で行われた「天童将棋まつり」を見にいってきました。 まつりの一番の呼び物といえばなんといっても「人間将棋」。しかも今年の対局者は中倉宏美女流初段vs山田久美女流三段とあってはこれを見逃す手はない。
ふもとの駐車場に車をとめて会場である舞鶴山の頂上へと坂道を上っていったら颯爽とした武者姿の宏美ちゃんとバッタリで会ってしまった。心の準備が出来ていなかったのであわててしまったがとりあえずカメラを構えて2,3枚撮った。テレビ局の取材とかも来ていたし、両者とも人気があるので周りからはフラッシュの嵐。山田さんは以前にも来たことはあったが、天気の都合で会場が屋内に変更になったため武者姿になったのは今回が初めてだそうだ。宏美ちゃんも武者姿は今回が初めてなのでニコニコしている。天気はあいにくの曇り空で雨もポツリポツリと落ちてきた。なんでも山田さんが雨女で、宏美ちゃんが晴れ女だそうなので今は勢力が拮抗している状態か。
そしていよいよ対局開始。大盤解説は神吉宏充六段と奨励会の野島崇宏三段。この野島三段は体格がよくて100kg以上ある。大盤の両脇に神吉さんと野島君が立つと盤が狭く見える。対局前の挨拶もおもしろかった。
司会者「野島さん、何か一言お願いします」
野島 「な、何でしょう」
神吉 「野島君、何でしょうはないやろ」
野島 「す、すいません。緊張していて・・・」
しばらく間をおいて
神吉 「どや野島君、そろそろ落ち着いたやろ。なにか一言いって。」
野島 「ど、どうでしょう」
神吉 「君は脳みそ3グラムか!」
(会場爆笑)
局面は宏美ちゃんの四間飛車で進む。途中宏美ちゃんの強襲がきまりほぼ必勝形になったのだが最後に動いていない駒を動かしてあげようとした手が緩手となり大逆転で山田さんの勝ちに。ここいらへんが人間将棋の難しいところである。
今回は人間将棋の他にもいろいろなイベントがあり、地元天童支部対東京の「墨田棋友会」との対抗戦などもあった。「墨田棋友会」にはあの竹内俊男さん(元読売日本一)などの顔も見える。それとは別に学生強豪の顔もちらほら見える。武田俊平、清水上、天野啓吾、などなど。
時間も大分たち、初日のイベントは終了となった。
私は地元天童支部の花輪さんや山口秀一さんにご挨拶をして、今晩一杯やりませんかともちかける。ついでに「プロの先生たちも一緒にどうでしょうかねえ」と必死の攻撃。
それが功を奏して2次会で宏美ちゃんと一緒に飲むことができた!
花輪さん、山口さんありがと-----。隣で見る宏美ちゃんはやっぱりキレイでした-。
神吉先生は1次会でかなり飲まれたようで目が正座している。それでも明るく場を盛り上げようとするあたりはさすがである。マイクを握ればうまいし、トークは面白いしですっかり店の主となっていた。
神吉 「山田ちゃん、1曲うたいなさい」
山田 「じゃあ宏美ちゃんデュエットしよう。あれは歌える?あれよあれ・・」
宏美 「あんまり古いのはわかりませんけど・・」
山田 「じゃあ何が歌える?」
宏美 「<あみん>の曲とかは?」
山田 「ちょっと暗くない?」
と悩んだ末、「恋のバカンス」に決まった。2人ともあまり知らないという割には結構上手だ。さすがにCDを出しているだけのことはある。
宴会も大分盛り上がってきたところへ明日の人間将棋の対局者の先崎八段が現れた。(相手は神吉)
周りの人たちはもうかなり酔っ払っているので素面の先ちゃんはつらいかなと思って見ているとすぐにマイクを手に取り早速歌いだした。すっかり場になじんでいる。先崎恐るべし。宴もたけなわとなり次の店へということになったが女性2人は「それではお先に失礼します」といってホテルへ帰っていったので私も速やかに自分のホテルへと帰った。
【二日目】
目がさめて窓の外をみてみると雨がしとしと降っていた。雨天の場合は市民会館にて行われることになっている。ロビーでは天童の特産品や駒なども売っているし、そば2000食無料配布や、抹茶のサービスもあり外でやるのとまったく変わらない内容で行われている。さすがに町をあげてのイベントだけにやることにそつがない。子供用には将棋の駒の形をした木で将棋倒しの枚数を競うゲームなどもあった。
2日目の対局者は神吉六段vs先崎八段 解説が島八段で聞き手を山田三段と宏美ちゃんが交代で務める。私はすばやく大盤の近くの席をキープしてカメラの準備をする。
対局が始まった。神吉さんの先手で四間飛車に振ったのだが、この人間将棋ではなるべく「全部の駒(人)を動かす」という暗黙のルールがあるようでこれが簡単なようで結構難しい。いつもならノータイムで穴熊にもぐる神吉さんもそれでは駒が動かせなくなるので仕方なく美濃囲いへ。先崎さんも同じく穴熊をあきらめて5筋位取りへ。対局をすすめながらも神吉さんは自分で解説までつけてしまう。
島 「実は我々(解説や聞き手)はいらなかったんじゃないですかね」
山田「そうですねえ」
島 「おお、仕掛ける前にじっと香車があがりましたねえ。まるでプロのようですねえ」
神吉「それはほめとるんでっか?」
のやりとりに会場も笑いがこぼれる。
だんだんと局面も緊迫してきて神吉さんの口数も少なくなってくる。一手指したほうが良く見える局面が続き会場も思わず静まり返る。
先崎の攻めが急所に入り、神吉の苦悩が続く。長考が目立ってきたので
島 「神吉さんはこうやってしゃべりながらもずっと手を考えているんですよ」
神吉「そうそう。でもってう〜ん。えーっと。島さんちょっと話でつないどいてください」
しかし苦しいながらも流石はプロで勝負手をだして局面は混沌としてきた。先崎の寄せに対して神吉が受けの好手を放ち、最後は逆に先崎玉を華麗な寄せでしとめた。終わって見ると見事全部の駒が動かされていてプロの芸を見せ付けられた。将棋の内容、トークの面白さ、すべての駒を使いきる芸、どれをとっても素晴らしく会場のお客さんは十分満足されたことと思う。
一休みすると今度はプロ棋士による100面指しが行われた。島八段、先崎八段、神吉六段、山田三段、中倉初段、野島三段のメンバー。
それでも1人あたり20人近くをこなさなければならないのでほとんど駆け足状態。プロの先生方お疲れ様でした。夕方になり先生方の帰りの電車時間がせまってきたので指導も途中で打ち切りとなった。
10数年ぶりで見た天童将棋祭り。あいにくの雨ではあったが地元天童支部の方々との交流も深めることが出来てとても有意義な2日間であった。皆さんもぜひ一度はいかれて見てはいかがですか。
以上で「中倉宏美ファンの集い」・・じゃなくって
「天童将棋まつり」のレポートを終わります。