イベント・レポート

2001年度リコー将棋部夏合宿

   〜〜〜恵比寿様と露天風呂〜〜〜

年月:2001年8月4日〜5日(土・日曜)13時〜

場所:神奈川県湯河原「杉の宿」

リポータ:西田 文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp


【杉の宿へ】

 八月の第1週末。酷暑の東京を離れ湯河原に向かう。朝は、年々30分くらいずつ早く家をでるようになっている。東名高速の混雑がひどくなってきているからだ。車1台に一人乗って走るのは地球環境上いかがなものかと少し心が痛む。しかし、車の中は快適な自由空間、サザンのCDコンサートが始まっている。やはり、車の環境対策技術の急速な進歩を願う。また、「交通集中による渋滞」も解消して欲しい。余談だが、以前は「自然渋滞」と呼ばれていたが、この呼び方の変更は若干の進歩といえる。もう一歩進んで「行政の貧困による渋滞」とか呼んだらどうか。東京から湯河原まで100キロ足らずを、高速道路を使って4時間半はひどい。とりわけ、瀬田から厚木まで2時間は、東名高速道路の名が廃る。その代わりCDコンサートはサザンから始まって椎名リンゴ、宇多田ひかるとZARDと用意したものすべてを聞くことができた。

 石橋の料金所のあたりから真鶴道路を行くと、右手の緑の小高い山と対照的に、左手に海が現れる。
 ああ、海だ。いいな、海は。気分が晴れる。・・・・・・・・・前に海をみたのはいつだろう。まさか、去年の夏合宿か? もっと、ちょこちょこ息抜きに来ないといけない。身体の情緒という栄養のバランスが崩れてしまう。

 杉の宿に着く直前にいつもは細い山道があった。あの細い道を来るといかにもひなびたところというイメージだった。ところが今年はいつの間にか広い道のまま杉の宿に着いた。道を広げたのだ。運転が安全にはなったけれど、風情が損なわれたのはやや寂しい。


【杉の宿は】

 今年は参加者41名と例年より少ない。ちょうど、帰省やら大会やら重なったこともあるようだ。中には杉の宿だから行かないという人もいた。これは会場選びの上で、チェックすべき点だが、彼らはよほどいやな思いをしたのだろう。杉の宿が顧客本位に経営を考えるのなら、直接ヒアリングして欲しいものだ。また、合宿委員もきちんと原因を掴んでおいて次の場所をどこにするのか決めてほしい。
 私の感想は、建物が順次新しくなり気持ちいいし、会場も椅子席なので楽だ、それに風呂もいい。雑魚寝という問題はあるが、まずまずだと思う。ドコモの携帯は圏外だった。Jホンはアンテナはたたないが圏外にはならないぎりぎりだった。ここのところ死蔵されつつあるテレカが久しぶりに活躍した。
 大会の会場に灰皿を持ち込めるようになっているが、換気対策を施した喫煙室を作り会場や宴会場では禁煙にしてもらいたい。せめて、リコーの範囲では禁煙を徹底してほしい、次回から冒頭でアナウンスするよう合宿委員にお願いしたい。


【恒例のリーグ戦】

 S,A,Bと3クラスとも14人ずつでリーグ戦表ができあがった。
 Sクラスでは初戦星出が師範に大金星をあげた。にこにことしながら「たまには入ることもありますよ」と恵比寿顔が嬉しい。しかし、その後牧野にやられ、さらに谷川さんに負かされていた。結局屋敷師範が順当に優勝し、野山、谷川、藤原、坂下という順となった。

 私はAクラスで、初戦は田中道夫さんだ。そろそろ還暦を迎える頃だが、スポーツ刈りに精悍な顔つきはいつも若々しい。ダンス、囲碁、麻雀など、田中さんの遊び話はいつ聞いても面白い。ダンスのパートナーの方が大金持ちで競馬の馬も持っていて、この前優勝したので、今度ご馳走になるのだという。将棋は、私が四間穴熊に組んでみた。ぐいぐいとこじ開けてくる突進は田中流で、どうしても防戦に追いやられる。途中かなり形勢は接近したが、普段薄い玉形ばかり指しているので穴熊の補修工事がどうしてもできない。後一歩というところで、うまい玉の早逃げを食って失敗してしまった。
 2局目は鈴木洋充さん。去年定年退職されたはず、時々将棋道場に通っているという。確か振り飛車党だと思っていたが、いつのまにかこちらが振っていた。棋譜というか局面さえ思い出せないのは、よほど読みに力が入っていなかったのだろう。負けたという空しい事実だけが残ってしまった。
 3局目はホームページ仲間の小川博義さん、横歩取りになったっけか?物忘れをしないように、すぐに書き始めたのだが、やんごとなき中断があって、今はもう秋、逆転勝ちして拾ったという唯一の白丸が残っているばかり。おやおや、小川さんは、白丸に全部黒く塗ってあるよ。
 4局目はファミリーボーナスを満喫中の吉中勝則さん。口先定跡通で、アマ棋界にも詳しく、女性にも詳しい。ここ2〜3年、対吉中戦は公式戦で勝った記憶がない。というか、対戦相手に限らず、どうも調子が悪い。まだまだ余裕で強くなれるほど弱いのに、なかなか強くならない。自分が勝たないと、参加型レポーターは筆がのびない。心して強くなるべし。
 定跡通らしく藤井システムできたので、こちらは藤井システムの弱点と思われる急戦で挑んだが、どうも本に書いてあるのとどこかで一手違っている。不利とされる変化に飛び込んでしまったらしい。優勢の時の吉中さんの顔は憎々しい。指し手も手厚く逆転の目が探し出せないうちに投了となった。

 結局Aクラスは研修会の伊藤君と和泉君の直接対決となり優勝伊藤、以下和泉、信沢、永井、槙となった。伊藤君と和泉君はリコーレーテイングでは対局数が少ないため、Aクラスとなったが、あの強さならSクラスでも良い勝負をするだろう。特にこの半年で、ものすごく強くなっている。奨励会目指して、頑張れ。

Bクラス。優勝徳森、以下奥田、須田、豊岡、脇坂となった。


【夕食】

 夕食は、いくつかのテーブルに分かれたが、鍋をつついて楽しい。同じ会社でも普段滅多に会えない人たちとしゃべくる。幹事は星出、桑山が担当だが、入り口付近には先に他の人に座られて、奥しか空いていなかった。今回は、ビール以外の飲み物は各自精算ということになった。飲み物については、飲む人飲まない人があるから、面倒ではあるが合理的である。


【指導対局】

 食後はSクラス対A,Bクラスの2面指しの指導対局。私は、須田さんとともに、坂下さんにぶつかって勢いよくはね飛ばされたが、須田さんはいい線行っている。二人ともいい体格だから、将棋もそのうち体重別でやるようになったりして。


【表彰式】

 朝、道路の向こうにある露天風呂に行こうとしたら大粒の激しい雨に遮られ、向こうに行くのはあきらめて2階の浴室に行った。久しぶりの雨は新鮮だ。大きな窓から見える雨に煙る緑の森は心を豊かにしてくれる。ゆったりと湯に浸かっていると、力がわいてくるのを感じる。

 会場に行くと例によって、朝まで指している人達もいる。ラベンダーのマドンナと指してみる。四間飛車美濃に対して急戦を仕掛けると、どこかで間違えてくれたようで、指しやすくなった。薄い玉なので、補修しながらいじましい勝ち方になったら、谷川さんから、いじめちゃ駄目だよと茶々が入った。いや、そうなのだ、マドンナにこんな勝ち方はしたくない。

 朝食の後、表彰式があった。リーグ戦5位までの人と、指導対局でA,Bクラスで勝った人たち、また初参加初白星をあげた二人の中学生にも。賞品は将棋に関する本で、いつも年鑑が真っ先に持っていかれる。あれは、必ずSクラスの優勝者になるわけだが、この辺も、少し考えてみてほしい。 新しい幹事による初めての合宿は、無事に終わった。星出君、桑山君、お疲れさま。おかげで、みんな楽しめたと思う。手作りの全員による全員のための合宿。桑山君に「キャバレー」という映画を紹介したい。見てほしいシーンはほんの数秒、ライザ・ミネリがガード下に行って、電車が通ったときに、大声を出して叫ぶシーン。
 次回冬の合宿もよろしくね。だんだんに、星出・桑山の色が出てくると良いね。楽しみにしてる。





 (完:記01年8月16日)


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