kifu0001
【大会名称】
第10期 アマ王将戦 決勝戦
【対局者】
▲谷川 俊昭  × △菊田 裕司
【対局日】
1993年11月28日
【対局場所】
愛知県蒲郡市
【解説】谷川 俊昭

 感想戦での会話。
菊田 「こんな手で潰れるわけないでしょう」
谷川 「そもそも右玉なんかがうまくいくとは思えない」

 ともあれ、△5三角は菊田さん、予定変更。3三金のつもりだったが、2四歩で2二歩を見られて困る。5三角の局面がひとつのチャンスだった。
 変な手だが、5三角の局面では、1五銀があったようだ。本譜は4六歩と突いて、場合によっては▲4五歩からの強襲を狙ったが、すぐに潰す手はなさそうだ。

 △8五歩の局面になり、意外と先手から攻め手がない。後手の駒が徐々にのびたこの局面では、将来、8筋に飛車を回しての玉頭攻めが見えており、形勢は難しくなっている。

 ▲4五歩打と押さえる手では、4五桂とし、同銀なら、同銀右、同飛、同銀、2八角成、4一飛なら先に桂損するしても指せたかもしれない。

 本譜は5三銀に3四歩としても角を成っても、3三桂くらいしで後続がないため角を切って強襲するしかなかった。秒読みの中、歩もないのに▲9五歩、ともあれ悪魔に一着が出、私も一応満足していた。

 端攻めはもちろん、9二歩、同香、8四桂の筋を狙ったもので、こうなれば逆転である。しかし△8四桂打が「敵の打ちたい所に打て」の格言通りの手堅い好手。

 以下、筋書き通り飛車を8筋に展開、9筋からのからみを一段落させて菊田さん一気の寄せに出た。△8六角が決め手である。

 菊田さんは、「最近調子が悪かったが、今回はだいぶ上向いた。少し風邪気味だったが、大事に指せてかえって良かった」と語っていた。

 菊田さんとは来年四月から同じチームで指すことになる。先輩の強さを見せることが出来ず少々残念だったが、私としても久しぶりの上位進出で満足している。

【棋譜】

1 ▲7六歩 2 △3四歩 3 ▲2六歩 4 △4四歩
5 ▲4八銀 6 △4二銀 7 ▲5六歩 8 △5四歩
9 ▲3六歩 10 △3二金 11 ▲5八金右 12 △6二銀
13 ▲2五歩 14 △4三銀 15 ▲6八玉 16 △3三角
17 ▲7八玉 18 △6四歩 19 ▲6八銀 20 △7四歩
21 ▲9六歩 22 △9四歩 23 ▲3七銀 24 △6三銀
25 ▲2六銀 26 △4二角 27 ▲3五歩 28 △5三角
29 ▲3四歩 30 △同銀 31 ▲3八飛 32 △3三金
33 ▲4六歩 34 △4二飛 35 ▲3五歩 36 △4三銀
37 ▲3七銀 38 △6二玉 39 ▲3六銀 40 △7二玉
41 ▲3七桂 42 △6二金 43 ▲4五歩 44 △6五歩
45 ▲2八飛 46 △1二香 47 ▲5七銀 48 △7三桂
49 ▲6八金上 50 △8四歩 51 ▲4六銀 52 △6四角
53 ▲5七金右 54 △8五歩 55 ▲4四歩 56 △同銀
57 ▲4五歩 58 △5三銀 59 ▲2四歩 60 △同歩
61 ▲3三角成 62 △同桂 63 ▲3四歩 64 △2五桂
65 ▲同桂 66 △同歩 67 ▲9五歩 68 △8四桂
69 ▲2五飛 70 △4一飛 71 ▲9四歩 72 △9五歩
73 ▲3三歩成 74 △8一飛 75 ▲4三と 76 △8六歩
77 ▲5三と 78 △同角 79 ▲9三歩成 80 △同香
81 ▲9二金 82 △8三飛 83 ▲2一飛成 84 △3一歩
85 ▲8六歩 86 △7六桂 87 ▲7七金 88 △8六角
89 ▲7六金 90 △5九角成 91 ▲8四歩 92 △同飛
93 ▲8五歩 94 △同桂 95 ▲6八銀 96 △8七角
97 ▲同玉 98 △6八馬 99 ▲3一龍 100 △7七桂成
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