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イベント・レポート

2005年度リコー将棋部夏合宿

年月日:2005年6月18日〜19日

場所:神奈川県箱根「花月園」

リポータ:星出 明

 合宿前の数週間は本当に時間の経つのが早いものだ。なんとなく意見のまとまらないまま1週間を切ると、そこから一気に企画等がバタバタ決まっていくのはいつもの定跡。会場の花月園は好評につき毎年利用させていただいているだけあって連絡も楽なもの。この頃長年担当者だった方が退職され少し心配したが、「いつもの通り」で通用して安心した。そんなこんなで当日を迎える。

【一日目】

 風貌から想像できないかもしれないが私は結構小心者。1週間前くらいから緊張でなかなか眠れなくなってしまう。寝不足のまま当日を迎える。電車の中でゆったり熟睡して睡眠時間を稼ぐ予定が、前日にダウンロードした携帯のゲームがあまりにも面白く、ピコピコ楽しんでいる間に気がつけばもう送迎バスチームの集合駅小田原。ま、うっかり乗り過ごすよりはいいか。駅のコンビニで昼飯をあさっていると、同じようにあさっているのっぽさんを発見。洋次主将だった。ゆっくり食べるヒマもなくもぐもぐしながら集合場所へ向かう。集合時刻11:45を軽く過ぎたところで細川率いる学生強豪・女流プロ軍団がゆったりと登場。奇跡的にすんなり全員集合し、予定時刻の12:00にいざ出発!天気は快晴、あじさいロードがまぶしい。少々混んでいて心配したが箱根湯元を超えた辺りからスムーズに動き出した。バスの中では若手やベテランの楽しそうな声が響く。「期待されているな」合宿委員としてのモチベーションが高まっていく。私は隣席の宮崎さんとしばし談笑。何を隠そう私が5年前に合宿委員に就いてからの皆勤賞は私を除けば宮崎さん、野山さん、樋口さんの3人しかいらっしゃらなくなった。何かの機会に表彰してあげたいと常々思っている。

 通い慣れた道を抜け花月園に到着。前回好評だった見晴らしのいい2Fの会議室を用意していただいた。会場では夜行列車ではるばる来られたという富山からの強豪、庄司さん親子と初対面。屋敷先生と自家用車チームも全員無事到着。早くもあちこちでパチパチと練習将棋の熱戦が繰り広げられていた。久々に参加の藤森さん、息子さんの哲也君も同じ現役奨励会員の伊藤君や大西君と楽しそうにしている。対戦表を貼り終え、準備万端。いざ開幕!

【開会式】

 司会進行役は細川に全てお任せした。これだけでも前日までの緊張度はかなり違ってくるので大変助かる。ここ最近学生強豪が多数参加してくれるのも人気者の氏を慕ってのこと。去年「マージャンが忙しくてイベントレポートが書けない」と堂々と言い放った頃の面影は・・・多少残ってはいるが(^^;今は十分に存在価値があると思う。最初に洋次主将のアドリブっぽい(笑)挨拶。個性の強くもめ事も多い将棋部員をまとめるのは本当に大変だと思う。「主将らしくなった」先輩方の評価も上々だ。合宿とはいえ勝負は勝負、対局前の独特の緊張感をかもし出しながら静かに開会式は進行していく。「進行上あまり対局を長引かせないように」という細川の言葉に「てめーだろ!」という会場のツッコミ視線を一身に浴びながら開会式も終わり、いざ対局開始!

【昼の部】

 前回昼の部は団体戦を試みたが、ギリギリまで人数が変動し前回のように2面指しが出てしまう可能性があったため今回は個人戦に戻してみた。強豪多数のためSクラスを2クラスに分割。まずはS1クラス。

S1クラス

 第3Rで“事件”は起こった。クールなスナイパー桑山君が屋敷先生を倒してしまった!これまでその自信なさそうな手つきと仕草で相手を油断させ(?)幾多の大物を食ってきたが、今回はまた大変な大物をたいらげてしまったものだ。普段めったに感情を表に出さない桑山君が「いい思い出になりました。」と顔を紅潮させながら興奮気味に話していた。細川に三愛大会のリベンジをされて優勝は持って行かれたが、堂々の殊勲賞だ。初参加の庄司さんは相手が強すぎたため1勝止まりだったが、合宿常連の中村プロに嬉しい白星を挙げた。まだまだ10代、今後彼の名前を紙上で見かける機会も増えていくことだろう。現役奨励会員の大西君も屋敷先生の一敗のみと実力を見せた。とても厳しい世界で戦っているとは思えない現代的で明るくよくしゃべる人だ。屋敷先生にはぜひプロでリベンジを果たしてほしい。沙恵ちゃんも奨励会員としての貫禄が出てきた。負けた大人もだんだん恥ずかしくなくなってきたのでは?

 続いてS2クラス

S2クラス

 洋次主将がいい加減な(?)将棋ですいすい優勝。後で棋譜を見せてもらったが本当に牧野さんがよく口にするところの「デタラメ将棋」だった(笑)。うま君が復活を印象づける準優勝。リコーチームの浮上にこの男の復活は欠かせないだけにまずは明るい話題だ。社団戦にリコーチームで活躍していただいている葛山君が3位入賞。初参加の上田プロは今回の合宿を盛り上げていただいた方の一人。結果は振るわなかったが、うま君、野山さんといった強豪を後一歩まで追い詰めどちらが勝ってもおかしくなかった。もう一人の初参加者、学生強豪の今さんは2勝を挙げたものの本人にとってはやや不本意な成績だったか。

 主にベテランの方々で占められたAクラス。

Aクラス

 人数の都合で一人抜け番ができてしまったが、付き添いで来られていた伊藤ママに無理を言って練習将棋を指していただいて大変助かりました。勝又さんが毎回好成績の木村さんとの全勝対決を制し優勝。私は勝又さんとは職団戦で同じチームで出場しているが、曲者揃いAクラスでもほぼ互角の成績を収めるほどの実力者。次回合宿ではぜひSクラスで全国クラスの強豪にどこまで通用するか試していただきたい。木村さん他実力者の山本さんと庭野さんも3−1と実力を発揮。樋口さんも2−1と健在。初参加の船津さんと北村さんはナウいファッションの女子大生で到底将棋を指すようには見えないが、将棋一筋のおじ様達は決してゆるめることはなかったようだ。ともあれ参加することに意義があるので、楽しんでいただければオールOK!

昼の部

【宴会】

 熱戦続きにもかかわらず思いの他スケジュール通りスムーズに進行していく。リーグ戦も無事に終わり、舞台は宴会場へ。ここでも司会は細川に一任。まずは熱海のご自宅からわざわざ駆けつけてくださった柳川部長のご挨拶。「将棋部もいい方向に向かっている」とおっしゃっていたが、本当にそうであってほしいものだ。お話が終わり、乾杯を忘れるというお茶目な一面も見せつつ改めて「カンパーイ!」。柳川さん、洋次主将としばし談笑した後ビールを持って徘徊。庭野さん、樋口さんは相変わらず元気そうだ。「若い人が増えたね〜。」しみじみ語っておられた。裏を返せばリコー将棋部員内の参加が減っているということ。合宿も随分雰囲気が変わったようだ。続いて富山から参戦の庄司さん親子の元へ。この頃O屋郁夫県名人に挑戦し、惜しくも1勝2敗で敗れてしまったそうだ。その他富山には今話題のY田正和氏やS本千聡氏等の強豪がゴロゴロしており、その中を勝ち上がるというのは素晴らしいの一言だ。おやおや、向かいの席では何やら大西君が泡の入ったグラスを持っているが炭酸入りのジュースか何かかな?続いて屋敷先生にもご挨拶。近頃話題になっている某九段のネタで盛り上がった。同じプロとしての意見を聞けるなんて大変貴重だ。また、うま君が屋敷先生にいつもスーツ姿でかしこまった格好をされているので、次回はラフな格好を勧めていた。確かに屋敷先生のラフな格好も見てみたい。

宴会

 「そろそろやりますか?」「おう、やるか!」細川と二人で臨戦態勢に突入。
 「えー、宴もたけなわではございますが…」細川の司会で恒例のクイズ大会が始まった。今回はリコー将棋部のここ1年間の活動を振り返り、クイズ形式でまとめてみた。

2005年5月14日、リコーグループの将棋大会である三愛大会が行われた。S、A、Bの3クラスに分かれ、計41人が日ごろ鍛えた腕を競いつつ交流を図った。
Q1.この大会のゲスト鈴木環那さんの指導対局は六面指しであった。

2005年5月3日〜5日にかけて、レーティング選手権全国大会が行われた。この大会で野山さんが並みいる強豪を退け、予選から9連勝という快挙で見事に優勝を飾った。
Q2.野山さんはこの棋戦では初優勝であった。

2005年3月6日の第88回職団戦ではリコーチームから7チームが参加。Sクラスは辛くも残留を果たし、次回への望みを繋いだ。また、トッププロも多数指導対局に招かれた。
Q3.Sクラスを除く6チームで、初戦敗退したのは2チームであった。

2005年2月11日、リコーの主催する社会人代表と学生代表による7対7の団体戦、日本選手権が行われた。社会人代表のNECが立命館大学を相手に5勝2敗と貫禄を見せつけた。
Q4.今回の日本選手権で初のWeb中継を行ったが、序盤に手が速すぎて着いていけなくなり、1度中断してもらった。

2004年12月11・12日、リコー将棋部の冬合宿がホテル杉の宿で行われ、約40人の方に参加していただいた。山田アマ名人・王将が初参加、大いに盛り上がった。
Q5.今回初の試みで次の一手名人戦を行ったが、次の一手名人誕生の指し手は100手目を超えていた。

2004年10月10日、秋の職団戦が行われ、リコーからは8チームが参加。Sクラスは残念ながら2期連続の予選落ちとなってしまった。
Q6.リコー2軍はAクラス決勝で惜しくも敗れたが、メンバー全員勝ち越した。

解答A1.○ A2.×(1995年に優勝) A3.○ A4.×(平田君大活躍) A5.×(83手目) A6.×(牧野さんのみ3−3)

 その他、無理を言ってプロの先生方にもご自身に関する問題を用意していただいた。二回戦行い、第一回戦優勝が鈴木環那プロ。賞品の「坂東香菜子写真集」はさすがに拒否。この写真集を手にしたのは第二回戦優勝の石橋さんだった。「すでに持っている」とのことだったが嬉しそうに2冊目をゲットしてしまった。

クイズ

【夜の部】

 宴会後はしばしの休憩。一風呂浴びて部屋に戻り、横になって目を閉じると気持ちよ〜くなってきたが頑張って起きだして夜の部の準備。ここ最近は夜の部もいろいろな策を施してきたが、今回は原点に帰ろうということでリレー将棋に落ち着いた。細川と二人で戦力が均等になるようあれやこれや組み合わせを考える。そして完成したトーナメントがこちら。

本戦トーナメント

 私は鈴木プロ、宮崎さんという頼もしいメンバーを従え桑山君チームと対戦。序盤で一方的に攻められる展開になりあれやこれやと“口”撃を試みるが冷静な3人は全く動じない。チャンスはあったようだが、順当に押し切られた。遊びとは言えどやはり皆さん勝負師、あちこちで奇声の飛び交う熱戦が展開され、そんな中を優勝したのは伊藤(康)・西田コンビ。やはり現役奨励会員とAクラスの中でもトップクラスの実力者のコンビでは手合い違いだったか?

 続いて慰安戦

慰安戦

 我がチームは大西君チームと対戦。大西君の挑発に対し「若いモンに負けてたまるか!」と横歩取りを受けて立ったところ他のメンバーより大ブーイング。しかし定跡を知らないのは敵も一緒。あっという間に大優勢になるが、「勝てる」と思ったら震えまくるのはリレー将棋も一緒、たちまち追い上げられ、私が焦って決め手のつもりで打った手がとんでもない読み抜けの大ポカでそのまま終了。ご迷惑をおかけしました。

夜の部

 リレー将棋に負けたチームからあちこちで自由対局が始まる。当初はハンディ付きのトーナメントを企画して対局機会を増やそうという計画だったが、ほとんどの人がすでに決まった相手と真剣勝負が始まっており、その必要はなさそうだということになった。そのうち合宿の恒例となった宮崎さんの二枚落ち道場が始まった。入れ代わり立ち代わりで強い人に挑んでいく。私も参戦したが、負けると何年にも渡って話のネタにされるのはたまらない。最後は危なかったが何とか勝ち切った。「星出には負けても洋次には絶対負けない!」と主将にも果敢に挑んでいったが、すでにお酒の入った頭ではまともに相手できるわけがない。一番ひどい内容でサンドバッグにされていた。観戦していた椋木も絶賛していたが、強い人は何をやっても強いということですかな。
 ほどなくして柳川さんから日本酒や食べ物の差し入れが届く。特にとうもろこしは絶賛であっという間に品切れになってしまった。本当にありがとうございました。
 学生連中と女流棋士もキャピキャピ楽しそうに指している。特に上田プロの声はよく響く。私は久々に牧野さんと2時くらいまで死闘。辺りを見渡すともう2組くらいしか残っていなかった。指しているのはやはりベテラン連中だ。合宿委員を経験した者であれば特にわかると思うが、こういう方達が土台をしっかり築いてくれたお陰で今の将棋部があることを我々は決して忘れてはならないと思う。そんな方達の期待に答えるためにも我々が一致団結して「強いリコー」を復活させなければならない。そんな思いを馳せながら会場を出ると、これまたベテランの中沢さんと滝山さんがロビーのテーブルで熱戦を展開していた。

【2日目】

 朝食は花月園名物のバイキング。夜中におにぎりを食べ過ぎたおかげで食欲が全くなかったが、新メニューのねぎとろを見た瞬間貧乏性に火がついた。第3Rまでもつれこみ、同席の沙恵ちゃん親子や藤森さんに笑われた。そのうち野山さんが隣に来て、「関西人が納豆を食べないのはせっかちでかきまぜるのが面倒くさいから。」というトリビアネタ、私は前にも聞いていたのでたまに使わせてもらっている。

 9時になり、再び全員集合。まずは会費を徴収。会計のうま君がいるのといないのでは大違い。奇跡的にすんなり金額が合った。そして表彰式。各クラスの成績優秀者、クイズ大会の優勝者が机の上にならべられた書籍を1冊づつ取っていく。目玉賞品のバンカナ写真集は無事に石橋君の手に渡った。こうして楽しい2日間の合宿も無事に終わりを告げた。

 帰りのバスの中、ベテランの方達の疲れきった表情と若いモンの余力たっぷりの元気一杯の会話が対照的。私は洋次主将と大人の会話。話の節々に将棋部を良くしたいという熱い思いがひしひしと伝わってくる。この声が今の若手に届いているだろうか?
 にぎやかな笑い声を響かせながらバスは長い坂道を下っていった。


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