イベント・レポート

第26回三愛会東京支部将棋大会

〜〜〜S級野山全勝優勝〜〜〜

年月日:2002年5月18日(土)10:00〜16:30

場所:港区「リコー青山事業所 2階食堂」

リポータ:西田 文太郎 e-mail : buntaro.nishida@nts.ricoh.co.jp
(将棋部は敬称略)

【五月雨を散らして青し外苑通り】

 最近の天気予報は、お天気に翻弄されている。特に週間天気予報は、見るたびに、この前いってたのと違っているじゃんと思う。だから、梅雨入り宣言とかいわれなくても、もはや今年の梅雨はスタートしていると思うことにする。
 せっかくの休日に、雨か・・と落胆する人も多いだろう。しかし、ここ外苑西通りを、東宮御所の緑の壁を背に、六本木方面に歩くと、プラタナスの大きめの葉っぱに、五月雨がしっとりとあいまって、いい感じである。休日の都心は人通りも少ないし、車も少ない。更に雨で人影はたえて、緑のささやきに誘われる。
 昔、「旅立ちは、雨がいい」と詠ったひとがいた。高野さんという女性で、学園紛争のさなかに、突然未知の世界に旅立ってしまった。そして我々の手元には「二十歳の原点」というつややかで悲しい著作だけが残された。
 人が、自分のことについて、真摯に語るには勇気がいる。今日は、ある女流棋士が魂の詩をつづった本を、著者のサイン入りで手にはいることになっている。その名もズバリ、「女流棋士」。やまとちゃん、こと高橋和女流二段だ。

【42名の参加】

 将棋は、たいがい室内で行われるので、むしろ雨は、将棋日和だ。一年に一度のリコーグループ全体に呼びかけて行われる三愛会の将棋大会。我が将棋部もこの大会が年度始めの公式行事となる。むろん参加者は、将棋部のものだけではなく、誰でも参加できる。
 Sクラスに12名、Aクラス15名、Bクラス15名での開始となった。 Sクラスは、スイス式で4局、持ち時間は20分、30秒である。野山、菊田、山田、牧野に新人馬上がどのような戦いぶりを見せてくれるのか、楽しみだ。
 AクラスとBクラスは、トーナメントで、1回戦で負けると慰安戦に回る。かつては、大山杯とか谷川杯とかいっていたような気がする。その伝で行けば、和杯などとしても面白そうだ。
 2局で負けてしまった人には、高橋和二段の指導対局という特典が待っている。どっちに転んでも、楽しい将棋の一日となる。更に、今日は初めての試みで青山食堂での打ち上げも用意されている。

【Sクラス】

 スイス式で、上から野山、菊田、山田、馬上、桑山、牧野、藤原、坂下、高橋、太田、星出、名田の12名。
 1回戦で、早くも波乱が起きて、山田洋次が高橋定光に黒星をつけられた。高橋は、ここのところ、「1.5軍の逆襲」という団体対抗戦を企画して、実施に漕ぎつけようとしている。イベントの発想、運営がユニークで、頼もしい。
 今年の1月に全国オール学生個人戦で優勝した期待の新人馬上勇人は、昨年社団戦1部で大活躍をした太田博朗に敗れた。
 2回戦は、昨年の決勝対決野山対牧野戦(棋譜はこちら)で、野山が雪辱した。菊田、桑山も連勝している。
 3回戦が終わって3連勝は野山、菊田の二人となった。
 4回戦で、野山が矢倉戦を制して優勝した。2位は牧野正紀、3位菊田裕司、4位桑山尚司となった。注目の新人馬上は2勝2敗でのデビューとなった。

【Aクラス】

 トーナメント表を見ると、私のいる山は比較的緩やかだが、向こうの山は抜けるのが大変そうだ。何しろ、1回戦で、去年の決勝対決が再現されている。ここは、平田が小林を破り、昨年の借りを返している。わたしは、東北リコーの平賀さんと対戦。指しているうちに以前も対戦した方だと思い出してきた。粘りのある手が印象に残っている。向かい飛車に対し居飛穴で挑み、飛車先は破られたが、4筋6筋方面で戦果をあげて、うまく寄せきった。
 平田は、2回戦で竹中に敗れてしまった。私は矢口さんとの対戦で、坂田流向飛車をやられ、対策がわからなかったが、矢口玉が美濃を中央に一つよった構えだったので、飛車筋は焦土戦術を採り、7筋を中心に玉頭戦に持ち込んで、勝てた。
 3回戦は、木村が相手で、前に負けていることを思い出した。しかし、そのときの戦形は覚えていない。今日は先手だったので、居飛車でいった。向こうは振飛車できたので、やはり居飛穴を目指しごりごりやっているうちに、仕留めることができた。今日は、何の気負いもなく、無心に盤に向かえる。あっちの山は、竹中を仕留めた中原が決勝に進出となった。
 決勝戦は、チェスクロックで、20分30秒。はじめて相手が振り、はじめて後手になった。四間飛車にしたら、居飛穴を目指してきたので、うろ覚えの藤井システムで迎撃する。勢いよく、桂馬を飛び出したのは良いが、早速歩の餌食になってしまったが、どこかに、あの桂馬は犬死にはしないと書いてあったような気がして、強気で、攻めていく。切れそうで難しかったが、相手のミスで、飛車が成込めたので、指しやすくなった。感想戦でもそこの数手が一番問題となった。最後は、きわどい一手違いを詰ろを続けて寄せきった。久しぶりに優勝できて、嬉しい。しかしどうも前に優勝したときのような感激がない。勝負師なら言わずもがなのことかもしれないが。
 3位は木村健二、4位が竹中静雄。
 慰安戦は小林寛史優勝、準優勝佐々木猛となった。

【Bクラス】

 ここには新人水山哲彦が出ている。将棋部のない大学だった。また、息子に釣られて最近熱が上がっているという勝又健児さんもいる。
 水山が快調に飛ばし、決勝は水山対須田哲夫戦となった。ここは、チェスクロックを使うというルールになっていないけれど、時計が余っていたので、両者の了解を得て、途中から、20分30秒で時計を動かした。須田には悪いが、長考派なので、この方が公平に戦える。
 結果は、水山優勝、須田準優勝、3位勝又、4位豊岡寛司となった。
 また、慰安戦は神山毅優勝、準優勝中沢陵人。

【和ちゃんのサイン】

 事務局が用意してくれた、和ちゃんの本の売れ行きは思ったより好調だった。和ちゃんが一人一人にためがきを書き、イラスト付きでサインしてくれた。表彰式に続いて一人づつ手渡してくれ、ツーショットの写真も撮ってくれる。私は、密かに握手をしてもらうつもりでいたが、どうもそういう勇気に欠ける。大いなる短所である。中には、しっかり握手をしている人もいる。ぐやじいヾ(>y<;)ノうわぁぁ(・o・)。

【打ち上げ】

 豊岡が幹事をやって、打上が実現した。例年かなり離れた場所まで移動しての打上だったが、今年は移動時間ゼロで、料理もおいしく飲み物も豊富で料金もかなり安くできた。豊岡の大ヒットだ。食堂の方が休日にもかかわらず対応してくれたから実現できたわけで、とても有難い。実は、これは菊田新手である。今年の全日本選手権ではじめて菊田が実現させたのだ。
 和ちゃんもしばらく同席してくれたので、いっそう楽しかった。今年の三愛会は大成功だった。
 事務局のみなさん、休日なのに有難うございました。参加された方で、将棋部に入りたい方、ぜひどうぞ。
 指導対局、サイン、歓談と大サービスをしてくれた和ちゃん、有難うございました。

(完:記2002年5月19日、改5月23日)


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