イベント・レポート

’99全日本選抜アマチュア将棋選手権大会

〜〜〜1年ぶりの金沢〜〜〜

年月日:1999年11月20日(月)

場所:金沢市

リポータ:山田 洋次 e-mail : yohji.yamada@nts.ricoh.co.jp


金沢の地に、一年ぶりに訪れました。

この一年の間、自分には長く感じました。

昨年、準決勝で敗退してからまたこの場に帰ってこられるとは、考えていませんでした。

それというのも、この大会の出場者とは、一年間の間にアマチュア大会で活躍した人と地元の強豪のみが出場できる名誉ある大会だからです。

僕にとっては、アマ名人戦が金沢の予選も兼ねているとの思いがあったので、アマ名人戦で負けた時点で、今年の金沢出場は諦めていました。

しかし、秋の職団戦優勝メンバーから一人という枠がありまして、今回、主将をはじめメンバーから、全国優勝のない僕にがんばってこいとのうれしい話が来ました。ありがとうございました。

選んでもらった以上勝たなければという気持ちと、みんなには去年以上の成績を取ってきますといって、自分にプレッシャーをかけて、大会に臨みました。

久しぶりに味わうプレッシャーで、ワクワクしていました。


前夜祭

参加者が一同に集まっての前夜祭。

この一年間に活躍した人達ばかりだったので、やはり見渡したらすごいメンバーでした。

去年の優勝者・アマ名人・アマ竜王・朝日アマ・アマ王将等・・・挙げたら、きりがないほどのメンバーでした。

この大会名物の公開抽選で、自分で数字の書いてあるボールを取るのです。

僕は3番でした。意味はないけど、奇数の数字が好きな僕としては、まずまずのくじでした。

二回戦以降の対戦相手などは、全然見る余裕はなかったです。


一回戦

一回戦の相手は、中西浩正さん。初対戦です。元支部名人の強豪です。

僕の記憶が確かなら、右玉系の中住まいが得意戦法だったはずなので、考えていた戦型があったのですが、序盤で予想が外れました。

といっても、自分にとっては、経験のある戦型だったので、自信はありました。

アマ名人戦の時には、負けた戦型でしたが、最近の自分の一番の研究課題だった局面になっていったので、研究も兼ねての試合になって自分にとって大きな意味になりました。

序盤の駒組みの細かい説明は、ちょっと企業秘密もあるので勘弁してください。

というか、まだ開発途中なので、自分でも指し手の意味を全部、説明しきれないのが本音です。

しかし、この対局で感じた事は、序盤の可能性は、まだまだ底が知れないなぁといった事でした。

終盤、乱れたものの、なんとか緒戦突破。

とにかく、一試合で帰らなくてすんだ事に感謝。


二回戦

二回戦の相手は、田村純也くん。初対戦です。若手学生強豪です。

去年は、八戸高専で、現在、秋田高専の大学コースに通っている20歳の若手です。将棋は、正統派で格式の高い将棋を指します。

三手目に、僕の得意な手を指した所で、長考に入って陽動振り飛車で、咎めにきました。

しかし、無難な駒組みが続いたら、いつのまにか作戦勝ちになって、堅さを生かして、なんとか勝てました。

さぁ、昼御飯だ。

遠くで指している天野くんと林くんの試合が、壮絶な入玉将棋になって持将棋模様になっていた。

この時には、まさかこの相手と後で指す事になろうとは、一瞬たりとも考えもしませんでした。

もう一局指せる事に感謝。


準々決勝

準々決勝の相手は、篠田正人さん。初対戦です。今年のアマ竜王で、その他の活躍もすごいものがあります。学生時代、菊田さんのライバルだった人だという記憶があります。

序盤は、自分の予想とは違う戦型でしたが、一回戦と全く同じような展開に、形勢うんぬんより、なんか、勝負のあやが向いているような気がしました。

将棋の内容は、桂損して苦しい将棋でしたが、成り桂で、プレッシャーをかけていたら、知らないうちに勝ちになっていました。

新婚さんに勝って、気を良くして、去年と同じラインに立つ事ができました。

遅くなりましたが、篠田さん、御結婚、おめでとうございます。


準決勝

準決勝の相手は、早咲誠和さん。過去0-2です。成績は、ご存知の通り、アマ将棋界を背負ってたつエースです。僕の師匠でもあります。

去年は、決勝で教わるつもりで教われなかったので、今回は、非常に当たって楽しみでした。

序盤で、一本とったものの、うまい指しまわしに、いやな流れを感じていました。

最後は、運良く残っていました。

初めて、師匠に勝っての恩返し。これからも、よろしくお願いします。


決勝

ついに、決勝戦。相手は、天野啓吾くん。初対戦です。今年の学生名人を始め、学生のタイトルを総なめしている多分、今の学生棋界のトップでしょう。

序盤から、研究通りに進んで手厚い展開だったのに、優勢を意識しすぎて、最後、勝ちを急いで、悔しい負けになりました。

棋譜のダイジェストは、週刊将棋に載っている所そのままです。


来年に向けて

今回の大会では、将棋の内容は、序盤は、研究通りに進んだ将棋ばかりでしたが、研究の不完全さ・未熟さも感じました。

終盤での読みも、納得できるものではなかったです。

そういった意味でも、今回は次回に繋がる、非常にいい勉強になりました。

対局してくれた方・応援してくれた方、皆に感謝したいと思います。

結果としては、残念でしたが、自分として、満足できていない状態での優勝より満足できるようになってからの優勝を目標に今後、精進していきたいと思いました。

今より、スケールの大きく精度の高い自分で満足できる将棋を指せるようになった時に本来の意味での日本一を取りたいと思います。

もうすぐ、2000年。ミレニアムイヤー。

来年の抱負として、足元を見失わないようにしながら、上を目指していきたい。

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