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イベント・レポート

第75回 職域団体対抗将棋大会 1軍レポート

月日:1998年10月11日(日)

場所:日本武道館(千代田区)

リポータ:菊田 裕司 e-mail : ykikuta@nts.ricoh.co.jp


 

ここのところ低迷が続いている職団戦。前回の春の大会では私は出張のため参加できず、第一チームはS級昇級を果たしたものの第二チームはA級に陥落してしまった。今回の目標はSAアベック優勝、と行きたいところだがどうも最近チームの士気が低下している感じなのが不安材料である。さらに豊島の退職、佐々木さんの病気欠場と追い打ちがかかり、唯一の好材料は山田洋次の参入で、チームの成績も彼如何であると思っていた。

 

[予選一回戦]

予選は毎日コミュニケーションズ、富士通、プロセス資材(2)と同じ組でまずは超鬼ブロックにならずに一安心。

初戦は毎コミと。

私はしばらく将棋から離れていたのが不安材料で、三将で出ることになった。対戦相手は、斎藤氏で氏得意の右四間模様。以前に当たったときは組ませないために振飛車側から6五歩と仕掛けたがあまり途中の分かれは悪いところもあったので、今回はすんなり組ませてみた。しかし作戦負け気味になり、黙っていると完全に駒組負けするので無理を承知で撃って出たが、適切に応じられ惨敗。

谷川さんは伊藤氏相手に矢倉急戦棒銀に出るも銀が全く捌けないまま中央を制圧されこれも惨敗。

瀬良さん、洋次は勝ったが、最後に残った野山さんは新戦力水沢氏に敗れこれで2−3負け。昨年の例もあるように初戦で負けるとずるずる行ってしまう可能性があるだけに初戦は絶対落とせないと思っていたのだが、また苦しいスタートとなってしまった。

 

瀬良○−×古作

野山×−○水沢

菊田×−○斎藤

谷川×−○伊藤

山田○−×下村

  2−3

 

[予選二回戦]

二回戦は富士通と。この翌週にスカイパーフェクTVの番組で当たることになっており、その前哨戦となった。やはり菊田は不振ということで四将に下げ、洋次を副将に上げた。

結果的にはこのオーダー変更が功を奏した。

私は出澤氏と。右四間模様にこられたが、前局の敗戦が頭にあったので6五歩と仕掛けて力戦となった。気が付いてみたらこちらの飛車が助からない形になっていて苦しかったが、すぐに飛を取りに来た手が急ぎすぎで難解に。こちらが歩をつき捨てた手が実はブラフで取られていたら困った。以下も自信はなかったが何とか勝ち切ることができた。

野山さんは奥村氏との空中戦に勝ち、谷川さんは伊藤氏の立石流に対し最近愛用の7四歩から3七角の対抗策で勝った。

終わってみると5−0と意外な結果になった。

 

瀬良○−×島

山田○−×石井

野山○−×奥村

菊田○−×出澤

谷川○−×伊藤

  5−0

 

[予選三回戦]

二局終わったところで昼食休憩。初戦落としたのは痛いものの、富士通に5−0勝ちして次は負けても予選通過の目も出てきて、少し気が楽になった。洋次は2−0で期待に応えてくれている。

三回戦はプロセス資材(2)と。

私は米花氏と。序盤で相手の見落としか誘いの隙か無条件で馬が作れたので良いだろうと思っていたが意外と難しく、長考を重ねていたら時間がなくなってしまった。それでも優勢で完封勝ちしようとしたら大穴が抜けていて、完封どころかぼろぼろになってしまった。

その後相手のミスもあり混戦になったが何だか良くわからないまま負かされた。

谷川さんは矢倉急戦二枚銀で後手から5五歩と先攻され5八歩と謝らされるという屈辱的な展開。後で聞いてみると「5筋からは来ないものだと思っていた」とのこと。あの戦型では5筋しか攻めるところはないと思うのだが。しかし結果は勝ち。

野山さんは村上氏の空中戦中原流に完敗。これでチームが負けたら完全に私が戦犯だと思っ

ていたが何とか3−2で勝った。これでリコーは予選を二位通過。

 

瀬良○−×小島

山田○−×?

野山×−○村上

菊田×−○米花

谷川○−×篠原

  3−2

 

[準決勝]

もう一方のブロックはNECとプロセス資材(1)が勝ち上がってきた。リコーはNECと対戦。

一番早く終わったのは野山さんで、野山さんの矢倉に伊藤氏の右玉だったが中盤で伊藤氏に見落としがあったようだ。

私は加藤氏とで私の四間飛車に対し5筋位取り。居飛車側が急戦模様に組んでから6筋の歩を交換しようとしたのが疑問で、5筋の位を奪還し労せずして良くなった。その後ゆっくりしても良かったが、長考して一気に決めに行ったのが良かったようだ。

4−0で洋次のところだけが残ったが局面を見るとどうしようもない。銀冠から玉頭を盛り上がっているが、ただ厚いだけで右辺は角を打ち込まれてぼろぼろという最悪のパターンになっている。粘るも勝負所もなく負け。しかし勝利内容が良くこれは決勝も行けそう

だという感じがあった。

 

瀬良○−×辻

山田×−○長岡

野山○−×伊藤

菊田○−×加藤

谷川○−×山本

 

[決勝戦]

もう一方の山は毎コミが勝ち上がってきた。プロセスのほうが社団戦で惨敗したばかりでやりにくいと思っていたので少しありがたいと思った。また力がほぼ互角なら同じチームに連敗はしないだろうという読みもあった。

私は小川氏の四間飛車穴熊に対し、超急戦棒銀。週刊将棋の「棒銀一直線」に書いてある手順でそのまま良くなった。局後にそのことを小川氏に聞いてみると氏はそのことを知らなかったとのこと。途中まではほとんど時間を使わなかったが、小川氏の勝負手に長考し、一気に決めに行ったらこれがとんでもない読み抜け。一枚もらったら向こうに詰みがあるはずがよく読んでみると一枚足りない。慌てて受ける手も読んでみたがもはや全く受けがない。やむを得ずだめと知りつつ受けてみたが、秒に追われた小川氏が手順前後し、全く攻めが続かなくなってしまった。さかのぼって勝負手に対していねいに受けていれば向こうは指す手がなかった。何とか勝ったものの反省の一局であった。どうも最近行くべきところで躊躇し、自重すべきところで暴走してしまうことが多い。やはり実戦不足か。

私の感想戦が終わったところでは3−1になっていて、残っていた野山さんも難解な終盤

を競り勝って最終的には4−1となった。

 

瀬良○−×下村

山田○−×伊藤

野山○−×古作

菊田○−×小川

谷川×−○水沢

  4−1

 

今回は大将の瀬良さんが全勝、洋次、野山さんが4−1と上位が好成績であった。とくに瀬良さん、野山さんは最近のチーム状態の悪化に発奮し、かなり気合いが入っていたようだ。

洋次は期待通りの活躍で、彼の参入が各メンバーにいい刺激となることを期待している。

 

私は日本帰国後かなりリハビリをしたと思うのだが、やはりまだ違和感がある。11月から12月にかけて大会をはしごしてもう少し調子を戻したい。

谷川さんは風邪で調子を崩していたそうで、それでも3−2だが、まだ本調子ではないようだ。

チームとして勝っていくにはやはり一人一人が自分なりに努力して強くなっていくしかない。


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