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イベント・レポート

第22回 三愛会東京支部将棋大会

  〜〜〜気軽に将棋を楽しんで〜〜〜


日時:1998年5月23日(土)10時〜16時

場所:(株)リコー青山 本社2階食堂

リポータ:西田文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp

うららかな土曜日に

秘策はサイン

開始前後

Aクラス1回戦

高橋和さん登場

周りを見ると

女流Bクラスってなんだ?

楽しんで悲しんで


うららかな土曜日に

 まだ5月なのに、今日も28度になると天気予報はいう。谷川さんが冷房をいれなくて大丈夫かなあと心配していたとおりになってきた。陽気に誘われるかのように、テニスのラケットやリュックサックが歩いている。インドネシアでは避難したり大変なようだが、ここは平和だ。

 電車の中では、大胆なUカットの襟刳りのシャツを着た若い女性が谷間を惜しげもなく魅せてくれる。そんなに見つめちゃいけないとたしなめるのだが、悲しいかな中年男の目はついつい引き寄せられて釘付けになる。

 普段の通勤の車内とは違って、てんでんに着こなしている私服がウキウキした気分を醸し出している。寄り添って楽しそうに話している若いアベックもいい。黒の上下で決めた美人もいいが、いきなり大あくびをしてびっくりさせてくれる。最近はあくびさえも(手で)隠さなくなったのだろうか。

秘策はサイン

 今日の大会に備えて私は5月9日に吉祥寺に行ったのだ。「羽生マジックII」の発売記念で、羽生四冠王のサイン会だ。しっかり1時間並んで、「玲瓏」と目の前でサインしてもらい、握手までしてもらったのだ。ライトブルーのスーツがよく似合っていた。

 大会までに全部読めば優勝と決めていたのだが、半分くらいしか消化できなかった。

開始前後

 受付に行くと、三愛会の人が名札をくれる。そして自分のクラスの表を張ってあるところにいくと、抽選をする。私はAクラスで、9番のくじを引いた。

 今回は69人の参加者がS、A、B、Cそして女流Bと、5クラスに分かれる。将棋部の人もいるがそうでない人もたくさん居る。将棋が好きなら誰でも歓迎なので、将棋部の門を叩くこともおすすめしておきたい。

 Sは、8人でスイス式、他はトーナメントになる。時計はSとAの決勝だけだ。ミスター・ビーンに似ているとマドンナたちの間で評判の吉中さんが、谷川審判長命令でSに抜擢されている。

 河津将棋部部長の開会の挨拶で、熱戦の火蓋は切って落とされた。アマチュアの楽しみの会の象徴のようににこやかな会話がしばしささやかれている。オレンジ色のワンピースやあでやかなキュロットスーツが華やかだ。

Aクラス1回戦

 私の相手は阿部徹さん。阿部俊一さんの弟さんで、今日は宮城から遠征してくれている。合宿のフリー対局で、指したことがあるような気がするが、公式戦では初手合いだ。歩を5枚取ってかしゃかしゃかしゃと両手で振り、盤上にばらまくと「歩」が3枚でて私の先手となった。

 私は先手の場合の初手はほとんど▲7六歩と指す。阿部さんは四間飛車に振ってきた。先手では振らないという。私は先手のとき居飛車穴グマにはめったにしない。何とか急戦で行きたいと思っている。しかし、藤井システムで、居玉のまま△7二銀から△9四歩と指されると、無性に居飛車穴グマにしてみたくなる。特に、早めの△9四歩は刺激的で一旦▲9六歩と受けるくせに、穴グマにしたくなる。

 迷いながら進めているうちに△8二玉と美濃がこいの中に入ったので、ついに穴グマを目指すことにした。阿部さんは当然飛車先の突き捨てから△6五歩と仕掛けてきた。この順は先手なのに仕掛けられるのが気に入らない。また、金と銀がバラバラでおよそ穴グマらしくないのがわりと好きで、また後手の攻めの銀が3二の地点にいるので簡単にはつぶれないと思っていた。しかし、県代表クラスの強豪の手に掛かると、きっとつぶれてしまうのだ。

 ばたばたと進んで、△5七歩成▲6一桂成△6八歩の時に▲2六角と飛び出すのが自慢の手だ。そして△6一銀▲7一飛車と打って、残っていると思った。勝手にゆとりを持って詰めよを掛けてこちらは詰まないから勝ちと読んでそう指したら、詰まされてしまった。しかも、詰めよをかけた手で、詰ましに行けば割と簡単な11手詰だったことを阿部さんに指摘されて、愕然とした。全く即詰めは読んでいなかったのだ。

 これで、ぷっつんしたのか、慰安戦の1回戦で、優勢な将棋を無理に攻めていって逃げられてしまった。将棋も心も修行が足りないと思い知らされる連敗だった。

 せめてもの救い(?)は、阿部徹さんが2回戦で、矢倉戦を制し、準決勝、決勝と勢いに乗って優勝したことか。ブービーメーカーならぬキングメーカーをやってしまった。

高橋和さん登場

 昼過ぎから高橋和女流初段が登場。黒のスラックスで白いTシャツに薄紫色のオーバーブラウスというしゃれたスタイルで、茶髪に、クリンクリンのお目目が可愛い。ファンの方が和ちゃん頑張れというホームページを開いているのもうなずける。

 我がウェブマスターの小川さんが最近低調な「棋譜鑑賞」に活を入れるべく、自戦記を書くと満を持して飛車落ちで、挑戦しに行った。写真を撮りに行って、覗いてがっくり、飛車の前に歩が居て、その前に銀が居てしかも身動きできない状態になっている。ったくもう!

 でもいいのだ。美しい被写体を美しく撮ってきたのだ。まんぞく満足。和ちゃんはNHKの教育テレビで、毎日曜日藤井システムの講座のアシスタントをやっている。あの涼やかな声も魅力だ。でも、この頃棋戦での活躍は静かだ。やっぱり強くなくっちゃ、だから頑張れ和ちゃん。




周りを見ると

 Sクラスでは吉中ビーンが新鋭の豊島君を破ったらしく元気がいい。金星だものね、そりゃあ嬉しいだろう。

 並び順をシャッフルして有るせいか事実上の決勝戦が3局目で行われている。数年ぶりに登場の瀬良司さん対新人の山田洋次君だ。かの寅さんで有名な映画監督と同姓同名なのだ。昨年は新人の豊島君が優勝している。今年はぜひ山田君に優勝してもらいたいものだが、瀬良さんの壁は厚い。

 角交換の向かい飛車からなんと203手という長手数で頑張ったがついに討ち取られてしまった。20分の持ち時間で、それを使い切ると1手30秒の秒読みの中、山田君は48手目から、瀬良さんも73手目から秒読みになった。さすがにこのクラスでは30秒でもなかなか間違えないものだ。

 瀬良さんは、4局目の小林戦も圧倒してぶっちぎりの4連勝で、ミニ大会ではあるが久しぶりの個人優勝を飾った。

 将棋部の須田さんがCクラスで優勝している。またCクラスの慰安戦で西依さんが優勝している。徳増さんはBクラスで、なぜか何故かナゼカ優勝している。徳さんは実は強いのだよ、「近代将棋」向けで晶ちゃんの6枚落ちの師匠もやっているのだし。

女流Bクラスってなんだ?

 今回だけの特別メニューかも知れないが、紅一点のマドンナ西川晶ちゃんを励ますためか女性に将棋を広めるためか5人も参加してくれた。トーナメントが行われている。

 1回戦は1局だけで、羽二重のマドンナこと小野三千代さんが少しやつれた顔で、熱烈なプロ棋士ファンのマドンナことOさんと。優勢だった羽二重殿が寝不足からか凡ミスで自滅してしまった。

 2回戦はそのOさんと晶ちゃん。晶ちゃん惜しくも破れる。

 もう一つの2回戦は新妻のマドンナことAKさんとコングラのマドンナことTさん。レモン色対オレンジ色の対決となったが、今年のお正月から始めたAKさんを2年前から始めたTさんがキャリアの差を見せた。

 さて、決勝戦は熱烈なプロ棋士ファン同士の対決となった。誰のファンかは内緒。Oさんは矢倉に組んで、玉を囲い、それから攻めていく。一方のTさんは居玉のまま飛車先に銀を繰り出し、行き詰まったら今度は銀の下に飛車を回し攻める。Oさんは形で指すので、手が早い。一方のTさんは力戦型で1手1手に読みが入る。

 途中で、王手を忘れて受けずに指してしまうというハプニングも河津部長の指摘で露見したがそれはお互いの合意でなかったことになり、しばらくして王様の腹に龍がきて終局となった。結局Oさんが優勝した。


楽しんで悲しんで

 ゲームだから勝者と敗者がでるけれど、それぞれ楽しい一日だったと思う。対局相手が長考するといって怒っている人も居たけれど時計の数が足りないからそれは我慢してもらうしかない。でも、本当に待つのも辛いのですよね。ただ、相手が考えている時間は自分が考えている時間より10倍くらい長く感じるものだから、公平を期すにはやっぱり時計ですよね。

 最後に和ちゃんを囲んで写真を撮ったり、色紙にサインをしてもらったり、「道具の用意」と「お願いの勇気」を出せばより大きなハッピーがつかめるようだ。私も来年こそはウツルンデスと色紙を用意しておこう。でも「一緒に写真を」といえるかな。



(完:98年5月24日)

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