イベント・レポート
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第一回鹿島杯女流将棋トーナメント決勝戦第二局
- ・公開対局
- ・お好み対局
- リポータ:西田文太郎 e-mail : nishida@cs.ricoh.co.jp
公開対局
96年9月1日(日)、東京赤坂の鹿島ビル
将棋の公式棋戦は新聞社が主催するのがほとんどであったが、最近はJT将棋日本シリーズや、倉敷市の倉敷籐花戦のように主催者も多彩に成りつつある。
この鹿島杯も今年が記念すべき第一回である。
東京地区のUHF局のMXテレビが主催している。
女流棋士24人が参加してトーナメントを戦う。日曜日の夕方の人気番組になっているので、既に虜になっている人も居るようだ。
我らが我らがアイドルの一人、中倉宏美女流1級も出場している。
中倉さん、1回戦は古河彩子女流1級を破ったものの、残念なことに2回戦で高群佐知子女流2段に負かされた。
清水市代女流四冠王も2回戦で碓井涼子女流1級に金星を与えている。
持ち時間は各10分で、それを使い切ると30秒未満で指さなければならない。TV東京の早指し戦と似たシステムだがTV東京は初手から40手までは10分の持ち時間で41手目からは30秒未満だ(「将棋世界9月号」の“公式棋戦の動き”より)。
決勝戦には、高群女流2段と林まゆみ女流1級が勝ち上がってきた。そして決勝3番勝負を戦うのだが、既に第一局はX女流が熱戦を制している(9月8日放映予定)。
高群さんはご承知のように3月に塚田泰明八段と結婚ほやほやで、調子も良い。
ローカルで恐縮だがご夫妻で我が地元、荻窪の将棋道場の師範になっている。
対する林さんは昨年のリコー将棋部の夏合宿に参加してくれたので教えて貰った部員も結構居る。
大阪の正棋会で野山さんたちに鍛えられているらしい。
高群さんは、白のツーピースに赤い口紅が映え、挨拶でファンの方を見上げた目が色っぽくて思わずデジタルカメラを落としそうになった。
林さんは、白っぽいワンピース風のドレスで洒落ている。きりっとしたお化粧が勝負師の風貌に成ってきた。
棋譜読み上げは大野暁弘初段、記録は近藤正和ほやほや新四段。にこにこと大野初段と話している。
棋士になって今最高のひとときだろう。原田康夫九段が「弟子に近藤三段というのが居る、とても強いのだけれど何故か四段に上がれないで居る」と昨年の杉並区の将棋大会で話されていたのを思い出す。
女流棋戦初の公開対局という対局場は鹿島ビル自慢のアトリウム、およそ5フロア分位の吹き抜けで天井は透明で陽光が差し込む。コンクリートの浅い池と、トロピカルな植物が茂っていてオフィスのオアシスとなっている。その中央にテーブルを置き、初の椅子での対局である。
大盤解説会場は地下にある。椅子がざっと240有り、ほぼ満席。
解説は王座戦第一局を明後日に控えた島朗八段だ。例によってダンデイなスーツで決めている。
聞き手は目黒貴子さんという美形だ。オレンジ系のミニのツーピースがよく似合う。スタイルも良く明るく感じがいい。
今日は追っかけギャルが居ない為かほとんど男性だが、魅了されているのは私だけではないだろう。
さて、林さんの先手で矢倉に誘導するが、高群さんは右玉に囲う。
▲3五歩△同歩▲同角。
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「ここではこう指そうと思っていました」
と4二と金を示しますと、会場は拍手喝采。
島さんが上手の銀が攻めてきたときの対策を伝授して会場は目黒勝ちを信じてみまもります。
最後の寄せ合いに目黒さんが初めて相談に来ました。
「ここで相談に来て欲しいなと思っていました」
と島さんはほっとしています。
2六歩、同歩から1三銀の奇手を伝授する島さん。
その通りに進んだのですが、最後に寄せ損なって下手無念の惨敗。
後一回相談できればと言う惜しい敗戦でしたが、目黒さんの善戦と、ハアハア息を切らせて走る可憐な姿と島さんとの絶妙のやりとりの応酬に会場は惜しみない拍手を送っていました。
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